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RSI (相対力指数) 完全ガイド

1. RSIとは何か?

RSI (Relative Strength Index) は、J.W.ワイルダーによって開発された、現在の価格変動の「強さ」や「勢い(モメンタム)」を測定するテクニカル指標です。オシレーター系インジケーターの代表格であり、0から100の数値で表されます。

主に市場が「買われすぎ(Overbought)」か「売られすぎ(Oversold)」かを判断するために使用されますが、それ以外にもトレンドの継続や転換を示唆する重要なシグナルを提供します。

RSIチャート分析

2. RSIの計算方法

RSIの仕組みを理解することは、シグナルの意味を深く理解するために重要です。

計算式

RSI = 100 - [100 / (1 + RS)]

ここで、RS (Relative Strength) は以下の式で求められます: RS = (期間中の平均上昇幅) / (期間中の平均下落幅)

パラメータ設定

  • 期間: 一般的には14(14日、14週、14時間など)が標準設定として使用されます。期間を短くすると(例:9)、感度が高くなりダマシが増える傾向があります。期間を長くすると(例:21)、滑らかになりますがシグナルが遅れます。

3. 基本的な見方とシグナル

RSIの数値は、市場の過熱感を判断する基準となります。

3.1. 買われすぎ・売られすぎの水準

  • 70以上: 買われすぎと判断されます。価格が急激に上昇しており、調整(下落)や反転の可能性が高まっていることを示唆します。
  • 30以下: 売られすぎと判断されます。価格が急激に下落しており、自律反発やトレンド転換の可能性が高まっていることを示唆します。

[!NOTE] 注意点: 強いトレンドが発生している場合、RSIは長期間にわたって70以上(または30以下)に張り付くことがあります。単に「70を超えたから売り」と判断するのは危険です。

3.2. 50ライン(中心線)

RSIが50より上にある場合は上昇トレンド、50より下にある場合は下降トレンドと見なすことができます。トレンドの方向性を確認するフィルターとして有効です。

RSIゾーン別の反転確率

RSI値の範囲による市場反転の統計的確率


4. 実践的トレード戦略

プロのトレーダーは、RSIを単独で使用するのではなく、他の要素と組み合わせて使用します。

4.1. ダイバージェンス (Divergence)

価格とRSIの動きが逆行する現象です。強力なトレンド転換のシグナルとなることが多いです。

  • 弱気のダイバージェンス: 価格は高値を更新しているのに、RSIは高値を切り下げている状態。上昇トレンドの勢いが弱まっており、下落転換の可能性があります。
  • 強気のダイバージェンス: 価格は安値を更新しているのに、RSIは安値を切り上げている状態。下降トレンドの勢いが弱まっており、上昇転換の可能性があります。

4.2. フェイラー・スイング (Failure Swing)

RSIが70以上(または30以下)のゾーンで特定のパターンを形成することです。 例えば、RSIが70を超えた後、一度下落し、再度上昇したが70を超えられずに前回高値を下回った場合、強い売りシグナルとなります。

4.3. トレンドラインとの併用

RSIのチャート自体にトレンドラインを引くことも可能です。RSIのトレンドラインブレイクは、実際の価格のブレイクよりも先行して発生することがあります。

RSIダイバージェンス後の価格動向

ダイバージェンス確認後の価格変動パターンの分布


5. RSI使用時の注意点と限界

ダマシ(False Signals)

RSIは万能ではありません。特に強力なトレンド相場では、売られすぎ・買われすぎのシグナルが機能せず、早すぎる逆張りは大きな損失につながる可能性があります。

対策

  1. トレンドの確認: 移動平均線やダウ理論でトレンドの方向を確認し、トレンドに逆らわないトレードを心がける。
  2. マルチタイムフレーム分析: 上位足(日足や4時間足)のRSIを確認し、大きな流れを把握する。
  3. 他の指標との組み合わせ: ボリンジャーバンドやMACDなど、特性の異なるインジケーターと併用する。

専門家Q&A

💬

RSIに関するよくある質問

このトピックについて、専門家に最もよくある質問をまとめました。

Q1 RSIの期間設定は14以外でも良いですか?
A:

はい、可能です。スキャルピングのような短期売買では「9」や「7」を使用して感度を高めることがあります。逆に、長期的なスイングトレードでは「21」などを使用してダマシを減らすこともあります。ご自身のトレードスタイルに合わせて検証(バックテスト)を行うことをお勧めします。

Q2 RSIだけでトレードして勝てますか?
A:

RSI単独でのトレードは推奨されません。市場環境(トレンド相場かレンジ相場か)によってRSIの有効性は大きく変わります。サポート・レジスタンスラインやローソク足のプライスアクションなど、他の根拠と組み合わせることで、勝率と信頼性を高めることができます。

Q3 ダイバージェンスは必ず反転しますか?
A:

必ずではありません。ダイバージェンスはあくまで「勢いの減速」を示すものであり、即座に価格が反転することを保証するものではありません。ダイバージェンス発生後、しばらくレンジ相場が続き、再度トレンドが継続することもあります(ヒドゥン・ダイバージェンス)。エントリーのトリガーとしては、実際の価格が重要なラインをブレイクするのを待つのが賢明です。


インジケーター使用時の罠

トレーディングで成功するためには、失敗から学ぶことが重要です。このトピックに関して、多くのトレーダーが陥りやすい間違いをまとめました。

⚠️ 注意すべきポイント

  • インジケーターのシグナルだけを頼りにする
  • パラメータを最適化しすぎる(カーブフィッティング)
  • 遅行指標であることを忘れる
  • 相場環境(トレンド/レンジ)を無視して使う

免責事項: 本記事で解説しているテクニカル指標や戦略は、将来の利益を保証するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて慎重に判断してください。

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